インプラント治療について(人工歯根)
インプラント
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はじめに
今回、患者様がインプラント処置を希望されたのは、以下のようなことを望んでいるからだと思います。
・自分の歯があったときと同じように食事をしたい。
・自分の歯があったときと同じように美しい歯でありたい。
・入れ歯では満足に噛めないし、違和感が我慢できない。
・まわりの健康な歯を傷つけたくない。
デンタルインプラントは、今までの治療法以上にこれらの希望を満足させることのできる可能性をもった、優れた治療法です。
しかしインプラント治療には、このような長所ばかりでなく、手術を行うことでいくつかの短所もあります。
私どもは、長所だけでなく、短所についても充分にご理解いただいた上で、インプラント治療を始めたいと思います。
そして、それによって皆様がより満足していただければと思います。
特に当院では、破折した歯でもなるべく残したいと相談に来院される患者様も多いです。
しかし、残念ながらその大半が歯の神経と血管をとってしまっています。
歯の血管をとってしまっている歯には栄養がいかず年々枯れ木のように脆く弱くなってしまっています。
その歯をいくら治療しても歯の強度不足は補えません。
唯一、歯の強度不足を補えるのがインプラント治療となります。
よってインプラント治療をおすすめする場合もございます。
ご理解の程、よろしくお願いいたします。
また、当院では安心してインプラント治療を行っていただくため、日本口腔インプラント学会認定医のDrがおります。
お気軽にご相談ください。
デンタルインプラントとは
デンタルインプラントは、歴史のなかで様々な素材、形態のものがありますが、最も一般的で、最も確実といわれているデンタルインプラント(当院で行っているタイプ)は、チタン製で歯根型といわれるものです。
インプラント治療とはこのインプラント体と呼ばれるチタンおよびチタン合金でできたネジのような形の人工歯根を、歯が失われた部分の骨の中に埋め込み、骨とインプラント体がしっかりとなじむ期間(骨結合・上顎=約3ヶ月、下顎=約2ヶ月)を待ってから、これを歯根として利用して、クラウンなどの上部構造を作っていく治療法です。
約10~15年の成功率は約95%だといわれています。
インプラントと嚙み合わせについて
食べ物も噛むには、歯の噛み合わせが重要です。
歯を失ってからそのままの状態にしている方がいらっしゃいますが、時間がたつと抜けた歯の後ろが前に倒れたり、咬みあう歯が伸びてきたりと、お口全体のバランスに悪影響を及ぼします。
最初に感じることは「噛みにくい」ことです。
お肉が食べにくい、柔らかいものを選んでしまうなど食事の内容に偏りがでてきます。
また、歯がなくなってから大きな口をあけると関節から音がする、口があけにくいといった症状もでることがあります。
これは咬み合わせのバランスが左右で崩れたことによる両頬への負担のアンバランスが引き起こしている症状で重症化すると顎関節症を引き起こします。
インプラントは隣り合う歯や向かい合う歯への影響がなく行える治療法です。
現在の咬み合わせを変えることなく失ってしまった歯の部分に十分な強度をもった人工歯根を埋め込んでかぶせ物をセットすることが出来ます。
そのため、歯を失う前の状態に一番近い原状復帰を行うことができます。
従来の治療法の問題点
従来、歯を失ったときの治療法は、入れ歯(取り外し式の義歯)や、ブリッジ(両隣の歯を削って、それを支えにして入れる固定式の義歯)が行われてきました。これらの治療法は、最も一般的な選択肢の一つですが、以下のような不可避な問題をかかえており、使い方やお手入れが適切でないと、周囲の歯の健康を損なうリスクがあります。
まわりの歯に負担がかかる。
ブリッジでは、隣の歯を削らなくてはならない。
入れ歯は違和感が大きく、安定しにくい。
汚れや細菌がたまりやすい。
インプラントの長所
お口の機能で最も大切なことは「噛むこと」です。
保険が効かない自費診療となりますが、入れ歯やブリッジにはないメリットをもつ治療法です。
1.周りの歯の負担を増やさない。
入れ歯の場合、噛むたびにバネをかけている歯に大きな負担をかけてしまい、
むし歯や歯周病のリスクを高めます。
ブリッジの場合、健康な歯をたくさん削らなければならないため、歯の寿命に影響します。
2.違和感が少ない
むし歯や歯周病で歯を失ってしまったとき、従来では入れ歯が第一選択でした。
入れ歯の場合、歯む力が弱く固いものなどが嚙みづらい、ガタつきやすいことが欠点です。インプラントに比べ入れ歯完成までに数回の通院で終了しますが、
その後の調整は必要となります。
インプラントは、月単位での期間は必要となりますが人工歯根が顎の骨にしっかり定着すれば自身の歯と同様に咀嚼することが可能となります。
3.お手入れはご自分の歯と同じように行う。
4.見た目が美しい
保険の入れ歯は金属のバネが目立ってしまいます。
インプラントは人工歯を被せますが、人工歯の素材は白く美しいセラミック系が多く、
見た目は他の歯とほとんど変わりません。
インプラントは失った歯の部分のみを治療するため、
残存歯の維持がしやすい治療法となっています。
インプラントの短所
1.手術が必要
インプラント治療にはインプラント体を埋め込む手術が必要となり、
歯茎を切開し、骨に穴を明ける必要がある。
2.治療期間が長い
インプラント治療は、インプラント体と骨が十分なじむのに2~6ヶ月かかるので、
治療期間が長くなる。
3.メンテナンスに注意が必要
基本的に天然歯と異なるため、メンテナンスなどには注意が必要。
天然歯は、歯肉や上皮、セメント質といった組織と結合しているため、細菌の侵入が起こりにくい構造になっています。
インプラントは歯肉や骨と直接隣接するため、細菌の侵入を防ぐ構造がありません。
感染を予防するためにも、より一層の清掃が大切となります。
4.歯槽膿漏になることもある
虫歯になることはないが、歯槽膿漏になる可能性がある。
当院で使用しているインプラント材について
当院では、デンツプライシロナのインプラント材を使用しております。
クラス最高の歯科医療技術を提供するメーカーであり、歯科業界でも最大規模の世界的インフラを誇っています。
デンツプライの歴史
ザイブインプラントを販売しているデンツプライ社は、人工歯をはじめ、歯科用材料、機器を製造、販売する会社として1899年に設立され、1世紀以上にわたって” First in Dentistry “という標語にふさわしく、革新的で高品質、経済的な歯科用製品を提供しています。
22カ国の製造拠点から供給される多岐にわたる製品は120カ国で流通しています。
デンツプライシロナは世界各国で毎年1億2500万ドル以上の研究開発投資を行うなど歯科医療の発展に取り組んでいるとともに臨床実験への関与、毎年多くの商品をリリースしています。
ザイブ(Xive)について
当院ではデンツプライシロナ ザイブインプラントシステムを使用しています。
ザイブインプラントシステムは、ドイツのインプラントシステムで、ヨーロッパでは最も多く使用されているひとつで迅速な治療と長期的な安定という結果をもたらすインプラントです。
狭い部位でも硬い・柔らかい骨でもソリューションとして活躍できるスマートさがあり、患者固有のアバットメントと上部構造がとても相性の良いものとなっています。
更に、骨室に応じたドリルプロトコルは適応性が高く、安定した初期固定を得るために術中でも変更することが可能です。
現在、国内でも、 慶應義塾大学病院をはじめ、複数の大学で正式に採用されています。
これまで治療が困難であった 「無歯顎」 や 「骨吸収の進んだ顎」 に対する
“機能修復” のための適応だけでなく、 “審美修復” の概念でも開発された、
優れたインプラントシステムです。
・ザイブ(Xive)の特徴
▽審美性
▽インプラントの長さと太さが豊富(骨が瘦せている部位にも対応)
▽プラットフォームスイッチング
▽骨との結合を短期間で行えるデザインに改良
【プラットフォームスイッチング】
プラットフォームスイッチングは、アバットメントの直径をフィクスチャーの直径より小さくすることです。
この、プラットフォームスイッチングにより、インプラント周囲の骨吸収を抑制できるようになります。
また、インプラントの周りの歯茎もきれいに仕上がります。
【骨との結合を短期間で】
ドイツのデンツプライフリアデント社では、治療期間の短縮を可能にするため、大学などとプロジェクトを立ち上げ、数年間にわたり、インプラントと骨の結合様式と、早く骨と結合できるインプラントの表面性状について研究を行いました。
その結果、新しい表面性状の開発に成功しました。
独特の表面性状で、骨の細胞(骨芽細胞)の付着を促進し、インプラントと顎の骨の結合が早期におこるため、従来のインプラントよりも、治癒期間が1~2か月短縮されました。
インプラント治療の流れ
STEP1:カウンセリング
現在の口腔内の確認し、今後の治療のご提案、インプラントについての疑問点やお悩みを初回のカウンセリングで詳しくお伺いします。
STEP2:治療計画と精密検査
レントゲンやCTを撮影して精密に検査を行います。検査結果をもとにインプラント治療の計画を立てます。
抜かなければならない歯は一次手術前に抜歯を行い、約1か月期間をあけます。
STEP3:埋入手術(一次手術)
はぐきを切開し、インプラント体を顎骨に埋める手術を行います。
最後に縫合して手術は終了です。
手術は通常約1時間程度ですが、腫れは4,5日~10日程度続く場合があります。
STEP4:抜歯
手術から1週間後に抜糸を行います。
統合期間
インプラントが骨になじむ(骨結合)期間を上顎で約3ヶ月、下顎で約2ヶ月の期間を設けます。
1カ月おきくらいに状態をチェックします。
歯茎が綺麗に治るように、仮歯などを使って治りを待ちます。
STEP5:2次手術
1次手術後、2~4か月期間をあけ、顎に埋め込んだインプラント体が骨と結合するのを待ちます。
結合するのを待った後、歯ぐきを再度切開してインプラント体と人工歯をつなぐアバットメントという土台になる部品を装着します。
型どり
アバットメント装着後、かぶせものの型どりを行っていきます。
型どりからSetまでは約1週間のお日にちをいただきます
STEP6:被せ物を被せる
型どりしたかぶせものを調整して被せていきます。
STEP7:メンテナンス
インプラントを長期的に使い続けるには定期的なメンテナンスが必要です。
クリーニングは勿論のこと、インプラントに適した歯科グッズを使用することが長持ちさせることへ繋がります。
インプラント治療の際のCTについて
当院では、院内にCTを完備しインプラント治療の前にはCTを撮影し、より安全にインプラント治療を行います。
むし歯や定期検診に来院された際、レントゲン写真や歯型を取るなどの検査を行った方もいらっしゃると思います。
パノラマとCTの違いについて説明します。
パノラマとは、副鼻腔や顎、上下の歯の状態を1枚の平面の画像に収めたものです。
CTとは、パノラマが2次元の画像に対して3次元の画像となります。
骨の厚みや血管の位置を立体的に確認でき、ソフトウェア上でシュミレーションをすることにより確実なインプラントの埋め込める位置を設定することができます。
これによりさらにインプラント治療を行うことができます。
インプラントを埋め込む位置が適切でなかった場合、唇や顔周りに違和感がある、痛みがあるといった術後の症状が残る場合があります。
これは、インプラントを埋め込む位置が不適切で、顎のなかを通る神経に接触し、近接した場合に起こりえることです。
最悪の場合、インプラントを取り出さなくてはならなくなります。
CTによって血管の走行を確認することで、手術中に必要以上の出血を防止することができ、術後の腫れや痛みを軽減できることへ繋がります。
2次元画像のみ
3次元が画像だとインプラント埋入時のシュミレーションが可能
インプラントのメンテナンスについて
インプラントを長く使うには、適切なメンテナンスが大切です。
▽口腔内チェック
▽レントゲン検査
▽クリーニング
▽ブラッシング指導
メンテナンスの頻度は3~6ヶ月に一度が目安です
しかし、手術後の経過期間や個人の口腔状態、歯周病やインプラント周囲炎のリスクなどによってメンテナンスの頻度は異なります。
メンテナンスを怠った場合
インプラント治療で装着した上部構造は虫歯にはなりませんが、インプラントのメンテナンスを滞るとトラブルが起きる可能性があります。
・インプラント周囲炎の発症
インプラントの周囲に起こる歯周病とよく似た疾患です。
天然歯の場合、歯と骨の間にある歯根膜が細菌などの侵入を防ぐバリア機能を
果たしていますが、インプラントには歯根膜がないため、歯周病の原因菌などが侵入しやすいとされています。インプラント周囲炎は自覚症状がほとんどないため、気が付いたときにはかなり進行して再手術が必要となるケースがあります。
なお、インプラント周囲炎によって周囲の骨が失われる速度は歯周病の数倍から数十倍と
言われています。
死角になりやすい部分に汚れが蓄積するとインプラント周囲炎が起こりやすくなるため、
自身の手ではお手入れしきれない部分をプロによる定期的なメンテナンスが必要となります。
インプラントを長持ちさせるために
インプラントを長く使い続けるために口内環境を清潔に保つためにもセルフケアが大切です。
・ブラッシング
歯ブラシを用いたブラッシングは基本的なケアです。
術後はデリケートな歯肉のケアに適した柔らかい歯ブラシや人工歯の間にも届きやすいインプラント専用のタフトブラシの使用や、歯磨き粉や歯磨きジェルはインプラントの人工歯を傷つけにくい、低研磨タイプがおすすめです。
・補助器具
ブラッシングでは汚れを落としにくい歯と歯の間は、デンタルフロスや歯間ブラシでケアしましょう。
歯と歯の隙間が狭い部分はフロス、広い部分は歯間ブラシを使うとより汚れを落とすことができます。
・デンタルリンス、マウスウォッシュ
デンタルリンス(液体歯磨き粉)やマウスウォッシュ(洗口液)のなかには、口腔内の細菌の働きを抑えプラークを付着しにくくする作用の製品があります。
特に就寝中は口腔内の雑菌が繁殖しやすいため就寝前の使用は周囲炎の対策としても望ましいでしょう。
・禁煙
喫煙回数が多い人は、インプラントと骨が結合しにくいと言われています。
また、結合できても歯肉の血行不良から歯周病やインプラント周囲炎を起こしやすくインプラントの寿命が短くなりやすい傾向にあります。
インプラントを長く保つには禁煙が望ましいです。
インプラント治療が出来ない場合
以下のような全身的、局所的な問題がある場合には、インプラント治療を行えませんが、改善されれば将来的に出来る場合もあります。
・心臓疾患、血液疾患、脳血管疾患など、コントロールされていない重度の糖尿病
・重度の歯周病(適切な治療およびコントロールがなされていないもの)
・顎の骨の過度の萎縮、骨の量の不足(骨移植、骨増也で対応できないもの)
なお、喫煙はインプラント周囲組織へ悪影響を及ぼし、インプラント治療の成功率を低下させることが明らかになっています。
喫煙される方でインプラントを希望される場合は、禁煙されるか、少なくとも手術前後の一定期間は禁煙していただく必要があります。
インプラントの失敗について
インプラント治療がうまくいかない場合は、大きく分けて次の2つの場合があります。
初期の失敗~ 手術でうまく生着しない場合
・インプラントが骨に馴染まない(骨火傷、粗な骨質)
・下顎管の損傷や上顎洞への穿孔
・難症例における移植骨の感染
・喫煙や糖尿病に伴う治癒不全
後期の失敗~ 一度成功したが何年か使用しているうちにダメになる場合
・インプラント周囲炎(歯槽膿漏)
・過剰な荷重負担(インプラントに力がかかりすぎる)
1に関しては、1%以下の確立でこのようなことが起こるといわれています。
条件によっては、再度インプラントを埋入する場合もあります。
2に関しては、日ごろからきちんとお手入れしていただき、定期的なメンテナンスに来ていただければ、それをかなりの確率で予防することができます。
最後に、インプラントは天然歯と同じように定期的にチェックしメンテナンスすれば基本的には問題ありません。
長くインプラントが使えるようにスタッフ一同協力して参ります。
